西尾市の「ケアマネセンターいこいの里」でケアマネ業務に従事するKさん。自宅での介護が困難な方となったご家族に対して、役所への相談を経て介護保険を使うためのプランニングや相談支援を行うのが普段の業務内容です。病気や症状が悪くなった状態になってもその人らしく今までと同じ生活が続けられるように生活に必要なものを支援するためのプランニングを行っています。Kさんは病院やクリニックでの看護師や特養老人ホームでの勤務を経て現在に至りますが、その過去の職場での経験が現在ケアマネとして働く信念のきっかけとなっています。
以前勤めていた介護施設で実感した「その人らしい」生き方
以前、西尾市ではないエリアの介護施設に勤務していたKさん。昭和という激動の時代を生き、食べるのにも苦労をした入居者たちへの扱いに心を痛めていました。人の尊厳を軽んじられるような入居者たちへの扱いに腹ただしくなり、「どうしてこういう扱われ方をされなければいけないのか」と疑問を抱きました。その介護施設では「おやつは食べてはいけません」「梅干しは塩分が高いから」と職員たちは良かれと思って食事制限を入居者にしていました。そんな状態を見てKさんは「食べたって大丈夫じゃないか」と。看護師としての経験があるからこそ、今本当にこれを食べてはいけないというもの以外は食べても問題ないと思い、入居者の人たちを皆一律で管理するような扱われ方に胸を痛めていました。
介護を必要とされている人たちは仕事も趣味も違う人の集まり。細かい作業が好きな人もいれば嫌いな人もいる。一人が好きな人もいれば、みんなと集まりたい人もいる。そんな状態でも入居者全体で同じ扱いをされている状況を見て「その人らしさってどこにいった?」と考え、ケアマネの現場へ戻っていきました。
移住した西尾市で。ケアマネージャーとして「その人らしい生活」の支援を
ケアマネージャー業務を行う中で、様々な相談が舞い込んできます。Kさんが大切にするのは「その人らしい生活を送らせてあげたい」ということ。最期まで良い人生だったと思ってもらえることを大切にしています。当事者の立場となって考えたとき、事情で施設に入らなければいけないパターンもあれば、地元や家で生活を送りたいと思うパターンもある。その人の取り巻く環境や、どういう状況の中でこれからの人生を生きるのかを一緒に考えることは「大変ながらも、その人の生活すべてを見ていくという面ではやりがいがある」とKさんは語ります。看護師時代の「グリーフケアに重点を置いていた」という経験も踏まえて、本人だけでなく、その周囲の家族の支援にも回ります。
現在の職場「ケアマネセンターいこいの里」では、スタッフ同士の交流があることでリアルタイムに様々な情報共有ができているとか。ショートステイ、デイサービス、居宅介護等の事業を西尾市で行っている職場だからこそ、それぞれの視点から臨機応変に対応が可能になっています。その対応ができたときはKさん自身も嬉しくなり、またご家族からも「嬉しかった」と喜びの声をいただくことも。
「ケアマネセンターいこいの里」に勤めて一年も経過していないKさんですが、本人曰く「定時退勤や休日勤務に対しての代休など、雰囲気が良く働きやすい環境。岐阜から来た私は、まだ西尾市に来たばかりで何もわからない状態で門を叩きました。」と笑う。「経験があっても場所が変われば分からないこともありますが、たくさん教えてもらいました。経験が少ない方でも教えてもらえる環境なので、資格がある方はぜひ来てほしい」と、新しい仲間が加わることを楽しみにされていました。