最後まで口から食べて美味しいお食事を楽しんでほしい
デイサービスいこいの里本館の特徴は「食べること」に特化していることです。
できることなら利用者様に「最後まで口から食べてお食事を楽しんでほしい」という思いが私たちの掲げる理想でもあり、目標です。
「食べる」とひと口に言っても、いろいろな口腔機能を必要としますので、嚥下機能向上のための口腔体操などのトレーニングを行っています。それだけでなく季節感のある食事を料理し食べることも、認知症の方の五感を刺激する上では、大切なことだと思っています。食べるためには、 食べる力であったり、料理することであったりとさまざまな力が必要になってきますので、いろいろな方向からアプローチしていけたら、と考えております。
私が、今まで介護施設で働いてきて一番盛り上がるレクリエーションが、食事に関するレクリエーションでした。お彼岸の時期になったらおはぎ作るとか、おやつとしてちょっとパンケーキ焼くなどです。レクリエーション中は、利用者様の生き生きした表情が印象的です。食事のレクリエーションをたくさんやることができれば、デイサービスにしたら利用者様だけでなくスタッフも来るのが楽しくなると思います。私自身が調理師の資格も持っていたので自然と、食べることに特化したデイサービスにたどり着きました。
美味しそうに食べられる姿が忘れられなくて
印象に残っているのは、以前勤めてたデイサービスで、比較的お若い男性の方(介護度5)で、食べたいけど、食べるとむせてしまうなど、食べる機能が低下している方のお話です。
おやつレクの時に、たこ焼き機であんこ入りのホットケーキミックスを作った時に何回もおかわりをして美味しそうに食べられる姿が忘れられないです。 最後は、口から摂取できなかったですけど、やりがいを感じる出来事でした。 また、女性の認知症の方で、おはぎを作る時に、日常生活では分からなくなってしまうことが多くても、使い捨ての手袋をお渡しすると おはぎを形成し、仕上げる様子が見られその姿が本当に見事で感心してしまいました。
利用者様自身のできることを取り上げてしまっても、ご本人も面白くありません。少し動作が難しい方が、面白いと思ってもらえますし、刺激にもなります。包丁を自在に扱えた方でも、家庭では、持たせてもらえなかったり、使うときは誰かが見てなきゃいけなかったりすると、やらせてあげれない現状があります。でも、みなさん、何十年もやってきたことなので、できるんです。
お仕事で農作業をやられていた方の自宅に行った際に、デイサービスを利用するにあたって「デイサービスのプランターで農作業してみませか?」とお誘いところ「鍬をに握らないと畑じゃない」とお答えいただくことがありました。その時、料理で包丁を使うことも同じようなことが言えるのではないか、と思ったんです。料理についても、調味料の順番などの繋がりを忘れてしまうことがあってもスタッフがお手伝いすることで、できるようになります。次の段取りを頭の中で考えることが大切だと思います。
今は、スーパーで袋に入って売っていますが、利用者様のお若い時はむき出しのままで売っており、野菜のよし悪しを自分の目で見て買うのが日常でした。以前、私が、昔ながらの八百屋さんでじゃがいもを買ってきて、いざ切ったら全部穴が開いていて、利用者さまに「まだまだね」と選び方を教えていただき、野菜の目利きの難しさを痛感したことがありました。利用者様は、凄腕の先輩なんです。
美味しい食べ物をお出しするだけじゃなく、利用者さまの「食べる力をつける」ことが私たちの使命というか役割だと思っています。
食に関してのレクリエーションは、下ごしらえなどの料理の準備や時間配分、役割分担を考えたりと大変ですが、利用者さまの喜ぶ姿がダイレクトに伝わります。やって良かったなと思うのと同時に次は何をしようかな?と思います。
もう一度、しっかり美味しく食べられるようになるデイサービスを目指して
今後は、嚥下機能が向上するトレーニングを充実させていきたいと思っています。利用者様自身が楽しみながら利用していただく中で、気がついたら「食事のむせこみが少なくなった」「食事の飲み込みに時間かかっていたのがスムーズに飲み込みできるようになった」など、食べる機能がいつの間にか向上しているのが理想です。
また、遊びを交えた早口言葉や唾液腺のマッサージ、手袋をしながら口腔内をマッサージするなど、食べる力を鍛えていることを意識した上で口腔機能を高めていけたらなと思っています。
TEL:(0563)57-1220